予防大国/歯科先進国スウェーデン

予防歯科の基盤を作った
「予防の父」

スウェーデンは世界有数の歯科先進国として有名ですが、1970年に国家戦略として「むし歯と歯周病の予防」が行われ、この戦略において、予防歯科の基盤を作ったのがイエテボリ大学のペール・アクセルソン博士です。この功績は世界に知れ渡る事となり「予防の父」と呼ばれています。
ペール・アクセルソン博士は予防歯科をいち早く始めただけではなく、根拠のあるデータに基く治療:エビデンスベースト(Evidence Based Medicine)の重要性を提唱した第一人者で、今の予防大国スウェーデンの礎を築き、そのエビデンスベーストの歯科治療こそがスウェーデン式の歯科治療なのです。また、PMTCは予防歯科の代表的な施術として知られていますが、「本当のPMTC」という本を執筆し世界中の歯科医療従事者たちのバイブル的な存在として知られています。(詳しくはこちらをご覧ください)

なぜスウェーデンは
歯科先進国と言われるのか?

監修:ピーターリングストローム教授

予防歯科

1960年代
スウェーデンでも多くの国民がむし歯や歯周病にかかっていた。
1970年
国家戦略としてペール・アクセルソン博士、ヤン・リンデ博士が参画(両教授共、元イエテボリ大学教授)
1972年から2002年までの30年の研究「成人に対する長期予防臨床研究」*1
555名を対象に調査を行った。
この功績は世界中に多大な影響を及ぼしている。
グループA
375名には2~3か月に一度、予防処置を行い、ホームケアのやり方を教えた
グループAの375名の結果は以下の通り。
  • 年齢によっても差はあったが失った歯の平均は0.4本~1.8本
  • ほとんどの歯を失う理由は歯根破折
  • 21本だけは虫歯、歯周病で失われた
グループB
180名は年に一度、歯医者に行って治療するだけ(※6年間モニタリングした後に解散)
グループBの180名は虫歯や歯周病を防ぐことはできなかった。
最近の状況
スウェーデンでは2013年に80歳で21.1本の残存歯数*2
cf. 日本では2016年に80歳で約17本の残存歯数*3

*1:【出典】National Center for Biotechnology Information, U.S. National Library of Medicine
*2:【出典】swedish dental journal vol 39 2015
*3:【出典】8020推進財団

世界的にも注目を浴びる
予防歯科と高等教育機関

文化として定着する歯科検診

「他の国と比較して、スウェーデンの歯科研究には大きな利点があります。 スウェーデンでは、子供と青年が定期的に歯科治療を受けており、ほとんどの成人も定期的に歯科医師または歯科衛生士による受診をしています。 このような膨大な症例を通して得られたデータをもとに研究を行う機会があるため、国民のほぼすべてに最良となる治療法を導き出すことが可能となります。」とピーター・リングストロム会長は結論付けています。

国際的に確固たる地位を維持してきたイエテボリ大学

イエテボリ大学とカロリンスカ研究所は、スウェーデンで唯一、QS世界大学の科目別ランキングで科目ランキングを上回っている高等教育機関です。一般財団法人日本スウェーデン歯科学会会長を務める、イエテボリ大学歯学研究所の教授兼所長であるピーター・リングストロム会長は、「国際的にみて、ランキングは通常注目を集めるものです。 世界の一部の地域では、スウェーデンと比較するとランキングをより重視するところもあります。 多くの人はランキングが常に当てになるものではないということを認識していますが、それにもかかわらず、ランキングは品質を表しています。私たちは今回1位にランキングされましたが、数年前からトップ10に入っていました。これは、私たちの研究活動の質の高さが安定的であることを示しています。 私たちの研究機関は、スウェーデン国内はもとより国際的にも、何世代にもわたって確固たる地位を維持してきました。そして今回、私たちが依然として国際的に有数の大学の1つであることを知ってうれしく思います。」とコメントしています。

引用: https://www.topuniversities.com/university-rankings/university-subject-rankings/2021/dentistry

スウェーデンと日本の
予防の考え方の違い

スウェーデンでは1974年に歯科保健制度が導入されてスウェーデン人のお口の中は著しく改善したわけですが、日本でも歯科保健制度は古くから導入されています。

しかし、予防の分野において大きな違いがありました。
スウェーデンの保険制度では虫歯や歯周病のない人がそうならないように予防する段階から適応されますが、日本では既に虫歯や歯周病が発症した後でしか適応されません。
発症前の予防段階ではフッ素塗布を除いて2022年現在、自費治療で行わなければなりません。

お口の健康は脳や心疾患、痴呆などの全身にわたる健康に効果があることがわかっています。
日本スウェーデン歯科学会ではスウェーデン式の予防歯科を推進し、国民の健康や国の財政面で貢献する為にも予防歯科の保険適応の実現を目指しています。

【参考】 第1章 介護予防について1-1介護予防の定義と意義-厚生労働省,2009/5,

エビデンスベーストの提唱

エビデンスベーストとは根拠のあるデータに基く治療の事で、近代では医療以外の分野でも重視される流れが強まっています。リンデ博士とアクセルソン博士はこの重要性を提唱した第一人者でもあります。エビデンスペーストであるPMTCは、歯の表面をクリーニングする事で虫歯や歯周病のリスクを低くする手法は予防歯科の代表的な施術として知られています。

世界的権威のスウェーデン人

ヤン・リンデ博士
Jan Lindhe
歯周病学の世界的権威
1982年 歯周組織の再生を図るGTR法を確立
2013年 旭日中綬章を受勲
2021年 著書 「Lindhe's Clinical Periodontology and Implant Dentistry」
予防歯科の効果を検証するために、30年にわたる研究結果「成人に対する長期予防臨床研究」の著者の一人。34歳でイエテボリ大学歯周病学科の主任教授に就任し、歯学部長となった後にペンシルベニア大学の歯学部長として迎え入れられるという輝かしい経歴の持ち主。世界で最も有名な歯科分野のスウェーデン人と言える。
ペール・アクセルソン博士
Per Axelsson
予防歯科の世界的権威。
イエテボリ大学にて博士号を取得し、1993年からイエテボリ大学予防歯科教授に就任。
予防歯科の効果を検証するために、30年にわたる研究結果「成人に対する長期予防臨床研究」の著書の一人。
ブローネマルク博士
Per-Ingvar Brånemark
1952年、チタンと骨の組織が結合する現象(オッセオインテグレーション)を発見した。
その後スウェーデンのイエテボリ大学に移籍し、1965年にインプラントの臨床応用を開始。
最初の患者は34歳の男性で、そのインプラントは彼が亡くなるまで41年間、正しく機能した。
ピーター・リングストロム博士
Peter Lingström
スウェーデンのイエテボリ大学、歯科学研究所カリオロジー科の教授・チェアマンであり、カリオロジー科分野における世界的権威。
イエテボリ大学において博士号取得のためのメインスーパーバイザーを務め、後進の育成に注力しながら、歯科医療の財政援助活動などにも注力をする。
スウェーデンう蝕学会バイスプレジデント、Västra Götaland 郡 公衆歯科衛生局、う蝕学専門官なども務める。
長年スウェーデンから虫歯や歯周病を無くす事に貢献され、スウェーデン王国厚生労働省の歯科ガイドライン委員の責任者を務めている。う蝕と歯周病の予防と治療に関する論文はこれまでに100を超える。
ステファン・レンバート博士
Stefan Renvert
歯周病学の世界的権威
スウェーデン歯周病学会会長、ヨーロッパ歯周病学会 総長を歴任。
国際的なピア・レビュー・ジャーナルに170以上の論文を発表。
世界的にインプラント周囲炎治療の臨床研究者として名高く、アメリカ歯周病学会・日本歯周病学会など、数多くの国際的学会に招かれ、最先端のインプラント周囲炎治療について講演している。
ベストセラーになった著書の「Peri-Implantitis」は日本語にも翻訳されている。

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